今日の帰り道/220121
まだ太陽が登りきっていない明け方に、難波のバス停に到着した。乾燥した空気と、遮光度が低めのサングラスをかけているかのような街並みを見ると、真冬であることを痛感する。
お気に入りの雑貨屋さんでタオルを購入してから家に帰りたかったので、開店の時間まで時間を潰すことにした。
旅の疲れを癒したかったのもあって、スマホで検索した中で一番近い場所にあるスーパー銭湯に向かった。
そのスーパー銭湯はカプセルホテルと併設されていた。
受付を済まして一目散に銭湯に向かうと、平日の早朝の割には多くの中年男性の姿があった。自分は少し悲しく思った。いつもより少し長くサウナに入った。
雑貨屋の開店の時間になったので向かって目当てのタオルを購入した時、浅井リョウさんの「何者」も書いたかったことを思い出したので、今日もまたブックオフに向かった。
google mapを片手に到着したそのお店には、4冊の「何者」が陳列されていた。
こういう時に自分は、一番状態の良い物を選ぼうとする癖がある。卑しいようでちょっと恥ずかしい。
4冊を手に取ってみると、他の3冊よりも少し厚みがあり価格も100円程高い「何者」があった。
何が違うのか気になって見てみると、どうやら文庫本の一番最後に記載されている【解説】の項の担当者が違うようだった。
3冊の方に記載があったのは実写化された時の映画監督さんのお名前で、厚みのある1冊の方に記載があったのはオードリー若林さんのお名前だった。
迷わずに他のものより100円程高い「何者」を手に取り、レジに向かった。
難波から家の最寄り駅までは少し遠いけれど電車で一本で着く。
ホームに到着していた電車に乗り込み長旅で疲れた脚を休ませると同時に、手に持っていた「何者」を開いた。
読み始めると直ぐに違和感を覚えた。一度映画で見ているはずなのに、ずっと知らないシーンが続く。
映画の尺に収めるために冒頭のシーンはカットしたのかもしれないと考えて、一旦読み進めることにした。
しかし、一向に自分の知ってるシーンは出てこない。
それどころか、映画では語られていなかった登場人物の秘密がどんどん解き明かされていく。
不思議に思った自分は表紙を見直してみた。
「何様」
そこに書いてあった文字は「何者」ではなく「何様」だった。どうやら続編のようだ。
自分らしからぬミスをしたなと可笑しくて内心笑っていると、次第に電車の揺れが心地良くなってきた。
気がつくと最寄り駅を知らせるアナウンスが流れていた。